松井冬子
松井冬子

松井冬子(まつい ふゆこ) 美しすぎる日本画家の怖い絵/画像
蛇が絡みつく骸骨やむき出しの内臓を見せつけて薄く笑う女、などの絵が
暗く禍々しい気配の作品とそれを描く人の端麗な容姿の不整合が美術とは無縁だったた人たちにも興味を呼び起こす。
日本画家松井冬子の魅力とは。




松井冬子の魅力 美しすぎる日本画家と怖い絵

「陰刻された四肢の祭壇」
「陰刻された四肢の祭壇」

松井冬子さん(39歳)の描く日本画の異様に繊細な作品に魅了され、2005年から個展の場を提供してきた成山画廊の成山明光さんが語る松井さんの作品の魅力。

怖くてグロテスクな作品と対比した松井冬子さんの本人の際立つ存在感が多くの人を引きつけ、日本画の画壇に新風を吹き込んでいる。

松井冬子さんはその容姿の端麗さと描く作品の世界とのギャップが話題になり
近年はファッション誌などへの露出も多くなっている。

松井冬子 作品制作の過程

「切断された長期の実験」
「切断された長期の実験」

しかし、その作品制作の過程を見ると誰もが驚きを隠せない。

華やかで洗練された、外側の印象とは裏腹に、アトリエにこもり地味で緊張を強いられる制作に集中しなければならない体力と精神力には相当なものが必要だ。

体育会系の根性こそ松井さんの持ち味だと松井冬子さんを知る人はいう。

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その容姿からは想像できない精神力と体力
多分、松井さん
水面下の苦労を感じさせない白鳥なんだろう。

松井冬子 幽霊画と話題になった夜盲症

「夜盲症」
「夜盲症」

横浜美術館で2014年の3月までに開催された初の大規模な松井さんの個展は
7万人以上の来場者を集めた。

この時、話題になったのは幽霊画と話題になった夜盲症。
髪を長くたらした足のない女の絵からは恐ろしさより、叶わぬ執念の切実さが
伝わってくる絵だ。

この絵は自己をギリギリと追い詰めて描いた自画像だと直感される。

松井冬子さんの作品作り

松井冬子 日本画家
松井冬子 日本画家
  1. 下絵で構想練る
  2. 部分ごとに繊細なデッサンを重ねる
  3. 小さな下絵図で構成を固めてる
  4. 原寸大の大下絵図を作った上で絹の上に本画描く
  5. 同じ線を繰り返し描き周到に作り込む

日本が特有の制作過程を経ることで生々しい情念を描き出す手法だ。

伝えるためには全てやるという思いで描く日本画家 松井冬子

「浄相の持続」
「浄相の持続」

集中力と体力、そして一流の表現者・画家として生きていくと言う強烈な信念がなければ、ずっと自分と向き合って描き続けることができないだろう。

松井さん自身は自分は日本画家ではなく現代美術家と言う。
今を生きる人に、今の時代をどう手段であり従来の日本画と違うと言う思いが日本画の制作過程と格闘してきたそうだ。

伝えるためには全てやるという思いで描く日本画家
これが、松井冬子の本質なのかもしれない。

松井冬子 幼少の頃と失敗続きの大学受験

松井冬子さんは

静岡県森町の山の緑が濃い環境の中で育ち小さい頃の、あだ名はジャングルだった。スポーツが得意だったガキ大将の女の子だったそうだ。

美術への目覚めは小学校4年の時学校の図書館でモナリザの複製画と目が合ったことだという。
それが、愛芸術家になるのが人生の目標になった。

しかし、大学受験は失敗続き
東京芸術大を目指すがプレッシャーに弱くセーターが裏返しだったり、受験票忘れたり受験は失敗続き。

厳格な父は浪人に反対したが、お母さんが支えた。
途中で油絵から日本語に転向して7年目で合格したのは24歳だった。

松井冬子 日本画家としての期待

松井冬子
松井冬子

苦労は入学後も続いたそうだが、
さらなる修練を積む孤独な努力も彼女ならできると支えられた。

興味本位でメディアに気を取られて欲しくない。
さらなる修練を積む孤独な努力も彼女ならできるからと
日本画家出身で現代美術家として早くから松井さんの才能に注目していた
明治学院大学の山下裕二教授は語る。

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